2010/05/05

勝海舟 氷川清話

 勝海舟が晩年に語った語録を纏め上げたものである。
 幕末の人物との交流が深く「な~に、あいつぁこんな御仁なんだわな」的な口調で一刀両断である。
 本人の口からでた話題である為、妙に説得感がある。

 人脈の広さには恐れ入る。
 幕臣、薩長、公家、市井のアウトローの親分衆、外国軍人、外国外交官。
 人間的な魅力があるのであろう。

 「いまのやつらは逃げても負けても恥とも思わず、うそをついても、裏切りをしても、いっこう平気で、それでもって 有志者だとか、政治家だとかいばっているがのみか、世間のものもこれをとがめないのは、実にあきれてしまうよ。
 どうしてこんなに人間の意気地がなくなったかしらん。」

 これは何も現在のことでは無い。
 氷川清話中、明治30年頃の勝の言葉である。
 まったくもって現在にも通じるところがある。

 べらんめい調の彼の口からは(彼はパリパリの江戸っ子である)色々な言葉がでてくるが、終始一貫しているの は「人間のタマがだんだんと小さくなってきて、それこそたまんねえなぁ」ということである。
 これを勝は自分の交際と経験から「べらんめい」調で語りかけているのである。

 とにかく肩のこらない読み物であり、また幕末維新史の裏側も見えてきて面白しろい。
 スッキリとした読了感である。


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2010/01/23

「それからの三国志(内田重久)」文芸社刊

 書店をふらついていたらふと目にし購入した本である。

 三国志は吉川英治の著によるものを若い頃読破した。
 何しろ何巻にもわたる大部の書であり登場人物も半端な数ではない。
 後半を読み始める頃には前半の登場人物とストーリーを忘れてしまう。
 俯瞰的にストーリーを把握できるようになったのはこの吉川英治の著を底本とした横山光輝によるコミック版(それでも文庫コミックで30巻からなる大部には変わりないのだが)を読了してからである。
 三国志は後漢末期から魏、呉、蜀の三国鼎立、晋による中国再統一までのストーリーであるが、吉川英治の著では諸葛孔明の死と成都開城をもって物語は了とされている(巻末にその後の三国について簡単な補足が付記されてはいるのだが)。

 本著は孔明から後を託された姜維のその後の振る舞い、つまり蜀漢の滅亡、再興の目論見とその挫折にいたるまでの物語である。
 この著も500頁にわたる大著である。
 しかも著者の内田重久氏は文筆を生業としているわけではなくサラリーマン稼業の傍らにこの大著を執筆したのであるというから驚く。
 膨大な資料の収集と調査に氏のプライベートな時間をほとんどつぎ込まれたことは想像に難くない。
 氏はこれは自分の主観が入った物語であると謙遜されているが吉川版では消化不良を起こす蜀漢滅亡にいたる流れがわかり易く記述されている。

 物語は蜀漢の武将姜維を軸に進められていく。
 姜維以外にも後漢末のそうそうたる人物に比べると小粒ではあるが、魅力のある人物がなんと多いことか。
 孔明死後も長期にわたり国が存続しえたのも彼らの支えがあってからのことであろう。
 但し、歴史は君主の専制体制から貴族による共同対の上に国主が立つという流れに変化しつつある。
 姜維がいかに孔明から後を託されたとしても時代の流れからして、彼が求める形での中原復興はありえなかったであろう。
 文武両道と言われている彼がその才を文の方面に発揮し、中原の復興を目指さず出師も行わず、暗愚と言われている後主劉禅の補佐と内政に専念していれば、また状況は変わっていたはずである。

 五丈原以降の三国のその後に興味のある方は一読を薦める。


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2009/02/22

清少納言の枕草子を読んだ。

 清少納言の枕草子を読んだ。
 とはいっても全編ではなく、角川書店で出版しているビギナーズ・クラッシックスの枕草子である。
 これは枕草子から主だった章段を抜粋したものであり薄手の本である。
 少しだけ枕草子の雰囲気を味わうのであれば丁度読みやすい長さだ。
 全ての章段を(全編では300以上の章段になるが)読みたい人はそれなりの書籍を読めば良い。

 学校の古典授業で習った枕草子はとても退屈であり「誰かが何処で何をした」なんて、そんなものどうでも良いと考えていたものである。
 他人の日記を読んでもつまらないということである。

 しかし現代はブログが興隆している時代である。
 この本は現代訳と原文を対比させているのだが、現代訳を読むと違和感を感じることも無く、その世界に入っていける。
 感覚的には現代のブログを読むこととあまり変らない。
 ブログだって「誰かが何処で何をした」という日記の一種なのだから。

 枕草子が愛されてきた理由がなんとなく理解できた。

 現実の清少納言と中宮定子が輝いていた時代はほんのわずかな時間である。
 清少納言が中宮定子に仕え始めたのは993年、清少納言28歳、定子18歳である。
 そして定子は第二子を産み、そのまま帰らぬ人となる。
 定子25歳の年である。
 この間、鬱屈とした時期が多いはずであるが、文章中には表れない。

 ブログをやっている人であればわかるだろうが、鬱々とした出来事を文章として書くことはなかなか辛いものである。
 その反面として穏やかで華やかな出来事を書き綴ったのであろう。

 清少納言自身は、枕草子が公開されるとは考えていなかった節がある。
 彼女の手による後書きにそのあたりのことが書かれており、「思うところを書き付けただけの手記が思わず世に出てしまったことを嘆いている」とのことである。


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2008/11/22

つい誰かに話したくなる雑学の本

 クイズ番組が面白いのは雑学を知ることにより知的好奇心が刺激を受けるからである。
 特段、雑学の有無が日常生活に影響を与えることもないので、気楽にそして大らかに番組を観ることができる。
 でも何かを知ったことにより少し得をした気分になる、というところであろうか。

 先日「つい誰かに話したくなる雑学の本」(講談社刊)という文庫本を購入した。
 少し気分転換の為に気楽に読めるものを探していたのである。
 この本はそのような意味ではまさにうってつけの一冊である。

 目次から少し拾ってみる…。
 ・芸者が男名をつける理由
 ・飛行機が空港に着陸するときの費用
 ・幽霊には何故足がないのだろう
 etc

 読んで実生活で役に立つか?、といわれるとせいぜい飲み屋でのウンチク話しに華が咲く程度であろう。
 が、なんとなく得をした気になる一冊であることは間違いない。
 手軽に読めるので、例えば旅行中に携行する一冊などには最適な本である。

 へぇ~、という気持ちになることは受け合いである。


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2008/10/05

福沢諭吉 福翁自伝

福沢諭吉についてその名前を知らない人間はいないであろう。
幕末明治の教育者であり、洋学者、そして慶応義塾の創設者でもある。

彼の著作についてもその名称は聞き及んでいるが、果たして私は読んだことは無い。
そこで秋の夜長、「福翁自伝」を読み上げた。
自伝というだけあってその内容は諭吉の口述を速記者が速記し、更に諭吉自身が校訂を加えたものである。

一読して感じたことは彼は時代を通じて己の思うところをそのままに演じ続けていたということである。
「立身出世の野心が無ければ人に依頼する必要もない。眼中人も無ければ藩もなし、さればとて藩のじゃまをしようとも思わず、ただ屋敷の長屋を借りて安住するばかり。」
これは諭吉が自伝の中で述べている言葉である。
彼は幕府に仕官した時期はあるが政治的野心や己の欲望の為ではない、純粋に自分の学問追求の為である。
明治以降は公職には就いていない。

口述筆記の為、臨場感あふれる読み物になっている。
咸臨丸での洋行、その後の遣欧使節随行時の逸話。
榎本は知らないであろう榎本武揚の入牢中の影での支援。
などなど知らなかった歴史の裏話も記載されている。

諭吉自身は幕末志士でもなければ、維新後の壮士でもない。
市井の一洋学者を自認し、ただ淡々と自分の思うところのまま生きているだけである。
何ともうらやましいものである。

そのようなところが他者の反感を買い、暗殺されそうになったこともある。
もっとも、これは当時諭吉自身は知らず、後に第三者から聞き及んで肝を冷やしたのであるが。

緒方洪庵の適塾に入門中の出来事、今で言いうところの学生生活。
当時の書生たちの生活ぶり、わき目も振らず学習に励み時たま一気に暴発する、など笑ってしまう。

豊前の小藩出奔~長崎遊学~大阪適塾入門~江戸幕府役人~洋行~慶応義塾創設の間の人間諭吉の思い、考えが垣間見ることができて400ページ近い本文であるが一気に読み干してしまった。

他人の顔色を伺わず、自分のやりたいことを心までやる。
生活の糧はあとからついて廻ってくる。
それはあの時代であるから可能なのだろうが、不確実な現在の我々にも一つの生き方を提案してくれる。


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2008/09/20

古事記

遅い夏休みで山中の一軒家に滞在している。
都会とは時間の流れが異なっており一日がとても長い。
時間が有り余る為、角川で出版されている「古事記」を持参し読破した。
但し、要約版ではあるが。
因幡の白ウサギやヤマタノオロチなど、お馴染みの日本神話が登場する。
要約版とは言ってもさすがに読み応えはある。
意外だったのはヤマトタケルの物語が拍子抜けするほどあっさりしていたことである。
それと近親婚の多さか。
最も原典版を読むと感じ方が違うのかも知れないのではあるが。
国創りの段はまるで旧約聖書の創世紀の趣がある。
まあ、多神教と一神教の違いはあれども民族の興隆を時の権力の立場から取り纏めた物語である。
雰囲気が似るのも致し方ないのであろう。
聖書の神様は高みから人を見下ろしている高慢さがあるが、古事記の神様たちは何とも人間臭い神様達ではある。

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2004/12/28

トムデマルコ著デッドライン

 本日は仕事納めである。何をしても中途半端になるため、会社の図書研修で配布され、少し残っていたトムデマルコ著作の”デッドライン”を読み通して、レポートを完成させました。
 この書籍のテーマはプロジェクトの問題はメンタルな問題であるということを提起したものです。各担当者のモチベーションを如何にして維持できるかが最大の課題ということです。

  ①プロジェクトの問題はメンタルな問題である。
  ②生き生きとしたプロジェクトを阻害する要因がプロジェクトを困難に
   する原因である。

 このような内容ですね。しかし、人月、成果物のボリュームで対価が評価されることの多い日本でこの種の解決策を当てはめることは現実的ではないと思います。少なくとも作業内容(工数ではなく)、成果の内容(ボリュームでは無く)で対価が評価される時代にならないと、この著作の内容は理想論で終わってしまうでしょう。最たるものは同じプロジェクトを"有能なメンバーを集めて短期間で完了する"のと"無能な人間を集めて長期間でだらだら完了させた"のと、わが国ではどちらのソフト開発会社の売上が良いかです。これがわが国のボンクラ・ソフト業界の現状です。いくらソフトウエア立国を叫んだところで画描の餅で終わりでしょうな。
 読み物としては、物語仕立てでとても面白いのでソフトウエア開発に関わらずチームリーダーの人にはお勧めの本です。

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2004/05/31

札幌文庫がWebで読める

 昨夜はF1を観ていたことによる寝不足、プラス朝からの暑さでまいりました。午前中はとても辛かったです。そろそろ半袖ワイシャツを活用しても良いかもしれません。
 昨日、自宅へ持ち帰ったものの仕掛り状態で残っていた資料ですが、午前中のうちに片付けようと考えていました。しかし考えが甘かったです。(昼寝をしたかった)昼休みをつぶして頑張ったのですが会議の時間には間に合いませんでした。「うーん、これはごめんなさいだな」と言い訳を考えていたのですが、急遽会議は中止となりました。と、ゆうことは今日中に作成すればよいので一気に気が楽になりました(やれやれ)。
 何気に故郷関係のWebを見ていたところ、札幌文庫という雑誌がWebで読めるようになったとのことです。開拓時代からの札幌の風土、出来事、歳時記等を昭和52年から刊行し、平成14年までの間に全100巻、刊行された書籍です。自分がまだ札幌に住んでいた頃から立ち読みで読んでいました。とても懐かしいので毎週少しずつダウンロードして読むつもりです。

さっぽろ文庫がWebで読める

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